バッタを倒しにアフリカへ

「バッタを倒しにアフリカへ」光文社新書
前野ウルド浩太郎 著

バッタに食われたいという夢を実現するためにバッタ研究者になり、サバクトビバッタの聖地サハラ砂漠に飛んだバッタ博士のフィールド記。モーリタニアでの研究所での暮らし、研究者をはじめ日々の暮らしで接した人たちのこと、そしてバッタのことなどを著者の持ち前のユニークな視点とユーモアたっぷりの文章で綴られています。バッタの本という割に中身はなかなか現れてくれないバッタを探し求めた奮闘の日々や著者の心もようが主体です。サバクトビバッタのことはそんなに書かれていません。もっとバッタのことを知りたい人は、同じ著者の「孤独なバッタが群れるとき―サバクトビバッタの相変異と大発生 (フィールドの生物学)」がおすすめです。こちらも十分に面白くて笑いが抑えられない本なので、期待は裏切られません。どちらも、モーリタニアという日本にはあまりなじみのない国の一端がわかる本でもあります。

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うしろめたさの人類学

「うしろめたさの人類学」ミシマ社
松村圭一郎 著

構築人類学(*)を提唱する文化人類学者が、研究フィールドのエチオピアでの体験やそこで考えたことなどをベースに、経済って何から始まり、国家と市場とわたしたち個人や社会をつなぐ制度や感情を人類学者の視点で解釈しなおしています。私たちのほとんどは、人と人、人と市場、人と国家などの関係性の中で、それぞれが居場所や役割をみつけて生きています。それぞれが持つそれら境界を引き直す試みをしてみよう、今ある構築された社会を一人一人の見る目や行動で変えていくことをやってみませんか、というメッセージの本だと思いました。本のタイトルにある「うしろめたさ」についての解説や「援助」の章の深さが少し心残りですが、新しい視点を与えてくれる面白くて説得力のある本です。分かりやすいはじまり、途中少し分かり難くなって(ちょっとアカデミックな感じになって)、でも最後はなるほどなあという気持ちになる本です。

*ジェンダーとかストレスなど社会の中にある性質や感情は、様々な作用の中で構築されてきたとされるが、そうした構築された社会を少し違う視点で組みなおしてみよう、そうしたらより良い社会の在り方が見えてくるかもしれない、そんなことを考えるのが構築人類学のようです。

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