空から降ってきた男

41Ap6NLCMCL._SX337_BO1,204,203,200_空から降ってきた男:アフリカ「奴隷社会」の悲劇
小倉孝保
新潮社
2016年

アンゴラ発ロンドン行きの飛行機から落下死したモザンビーク人男性のストーリー。
ヨーロッパに住む恋人の元に向かうため飛行機の車輪格納庫に潜み、ロンドン着陸寸前に落下死してしまった男性の、そこに至るストーリーをロンドン駐在のジャーナリストがまとめたものです。スイスに住む元恋人や、男性の故郷の親族などに取材をしています。

恋人の元へ向かうという動機は私たちにもわかる気持ちですが、経済や文化的な背景には、私たちと共通するものもあれば、アフリカやモザンビークに特有のものもあるように思います。(物質的な)豊かさに触れて初めて貧困の厳しさが身に染みることは、日本でも程度の差こそあれありますが、お金が問題を解決するという暗黙の制度は、アフリカの多くの国でその浸透度の深さが日本の比ではありません。それはつまり、お金がなければ何もできない、多くの低所得層にとっては貧困から抜け出すことがままならないということです。農村生まれのおとなしい主人公の男性が南アフリカ大富豪家族の暮らしに出会い、そこのヨーロッパ人妻と親密になってしまったことは、貧困から抜け出す大きなチャンスだったわけですが、元恋人はヨーロッパの母親に助けを求め、男性は結局どこかで歯車が狂い、ロンドンの住宅街の路上に落ちて死んでしまう。自らの判断を誤ってしまったのか、それとも富豪の暮らしや元恋人に人生を狂わされてしまったのか、悲しいストーリーです。

開発に関わる人は、こうした状況を作り出す影響力を常に持っていると思いますし、援助とか支援を考える材料になると思います。

アフリカにょろり旅

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アフリカにょろり旅
青山潤(著)
講談社
2009

研究者が書いた、マラウイ、ジンバブエ、モザンビークでのウナギ探しの旅のお話し。奇想天外で、ほぼ無計画な旅の途上に出会う人々、食べ物、乗り物、宿、市場、そしてウナギの話が、まるで漫画のストーリーように展開します。なにもそこまでしなくてもいいんじゃないというか、もう少し計画的な旅でもいいんじゃないかと思うし、登場する食べ物「ニャマチョマ」はスープ/シチューではなくて焼肉の間違いじゃない?と思いますが、そんな経験をしてまで幻のウナギを探し求める姿が滑稽でもあり、仙人のようでもあり。この本を読んで研究職志望者が減らないことを祈ります。専門であるアフリカのウナギの詳しい話があまり書かれていないのが少し残念。

研究者が書いたこちらの本も面白いです。