うしろめたさの人類学

「うしろめたさの人類学」ミシマ社
松村圭一郎 著

構築人類学(*)を提唱する文化人類学者が、研究フィールドのエチオピアでの体験やそこで考えたことなどをベースに、経済って何から始まり、国家と市場とわたしたち個人や社会をつなぐ制度や感情を人類学者の視点で解釈しなおしています。私たちのほとんどは、人と人、人と市場、人と国家などの関係性の中で、それぞれが居場所や役割をみつけて生きています。それぞれが持つそれら境界を引き直す試みをしてみよう、今ある構築された社会を一人一人の見る目や行動で変えていくことをやってみませんか、というメッセージの本だと思いました。本のタイトルにある「うしろめたさ」についての解説や「援助」の章の深さが少し心残りですが、新しい視点を与えてくれる面白くて説得力のある本です。分かりやすいはじまり、途中少し分かり難くなって(ちょっとアカデミックな感じになって)、でも最後はなるほどなあという気持ちになる本です。

*ジェンダーとかストレスなど社会の中にある性質や感情は、様々な作用の中で構築されてきたとされるが、そうした構築された社会を少し違う視点で組みなおしてみよう、そうしたらより良い社会の在り方が見えてくるかもしれない、そんなことを考えるのが構築人類学のようです。

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民族紛争を生きる人びと:現代アフリカの国家とマイノリティ

民族紛争を生きる人びと:現代アフリカの国家とマイノリティ民族紛争を生きる人びと:現代アフリカの国家とマイノリティアフリカ

栗本英世著 世界思想社

著者は、1976年、文化人類学を学ぶ大学院生としてスーダン南部での調査を開 始しました。その後2年間、パリの人々の村に住み込み村の同世代集団の一員 として暮らしているうちに、著者が調査を開始した頃は成立していた南北和平 が崩れ、スーダン南部は再度、内戦の舞台となりました。著者は調査地を離れ るましたが、パリの同世代集団の仲間たちとはおりおり連絡をとっていまし た。彼らは、積極的に銃を取ってパリの村を離れ内戦に参加していったそうで す。彼らの銃を取るという選択は何に基づいているのか、何を目指したものな のか、を問いかけてきた記録がこの本です。連絡を取り合った友人たちの死に あたって著者がしたためた弔辞をも収録した「異色の研究書」です。

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「都市を飼い慣らす―アフリカの都市人類学」

都市を飼い慣らす―アフリカの都市人類学「都市を飼い慣らす―アフリカの都市人類学アフリカ
松田素二、河出書房新社

ナイロビの出稼ぎ民の町と都市社会や出身村との関係を、著者はそこに住み込んで研究しました。ナイロビの出稼ぎ民街の長屋での人々の暮らしの様子が鮮やか に描かれています。こういう本を読むと、人類学は面白そう!と思わずにはいられません。長屋に住む出稼ぎ民たちは自由に都市と農村を行き来し、村にアイデ ンティティを残しながらも都市をうまく飼いならしています。都市と農村という単純な対比ではなく、出稼ぎ民たちは私たちが考える以上に自由であり、その自 由は彼らのどうしようもなさそうな日常のなかでの順応を超えた、まさに状況を飼いならしていく努力によって得られているのです。豊かなのに無力感を感じる 多くの日本人にとっては、ナイロビの出稼ぎ民たちの活力と創造性は刺激になるのではないでしょうか。

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