アフリカ希望の大陸

51wzmh1t7pl-_sx345_bo1204203200_アフリカ希望の大陸:11億人のエネルギーと創造性
ダヨ・オロパデ著、松本裕訳、英治出版

この本は、最初から最後まで、アフリカに存在する数え切れないほどの機会、それを生かす人々の工夫とエネルギーが実例で紹介された、希望に満ちた本である。この本が発信するメッセージは、人々が工夫して作り上げ、社会を動かし、生き抜いていくための、助け合いや時にはインフォーマルな「近道」が、実際には役に立つことが多いということだ。利用できるはずだと思っている公の制度は非効率な政府の副産物で使えないことが多いという。読者がアフリカに興味を持っている人ならば、アフリカへの視野を大きく広げてくれるだろう。もし読者が開発関係者なら、その人たちの目標である「自分たちをお役御免にする」ために、今までうすうす感じていた「非国家的構造や非公式な近道こそ役に立つ」ということに、今一度うなずく本となるのではないだろうか。多くの人々の工夫による希望の実例はすばらしいものばかりだが、必ずしも希望ばかりの現実ではないという批判は、現地の経験がある人なら持つだろう。それでも、見方を変えればこんなに希望に満ちている大陸というメッセージは貴重だ。

空から降ってきた男

41Ap6NLCMCL._SX337_BO1,204,203,200_空から降ってきた男:アフリカ「奴隷社会」の悲劇
小倉孝保
新潮社
2016年

アンゴラ発ロンドン行きの飛行機から落下死したモザンビーク人男性のストーリー。
ヨーロッパに住む恋人の元に向かうため飛行機の車輪格納庫に潜み、ロンドン着陸寸前に落下死してしまった男性の、そこに至るストーリーをロンドン駐在のジャーナリストがまとめたものです。スイスに住む元恋人や、男性の故郷の親族などに取材をしています。

恋人の元へ向かうという動機は私たちにもわかる気持ちですが、経済や文化的な背景には、私たちと共通するものもあれば、アフリカやモザンビークに特有のものもあるように思います。(物質的な)豊かさに触れて初めて貧困の厳しさが身に染みることは、日本でも程度の差こそあれありますが、お金が問題を解決するという暗黙の制度は、アフリカの多くの国でその浸透度の深さが日本の比ではありません。それはつまり、お金がなければ何もできない、多くの低所得層にとっては貧困から抜け出すことがままならないということです。農村生まれのおとなしい主人公の男性が南アフリカ大富豪家族の暮らしに出会い、そこのヨーロッパ人妻と親密になってしまったことは、貧困から抜け出す大きなチャンスだったわけですが、元恋人はヨーロッパの母親に助けを求め、男性は結局どこかで歯車が狂い、ロンドンの住宅街の路上に落ちて死んでしまう。自らの判断を誤ってしまったのか、それとも富豪の暮らしや元恋人に人生を狂わされてしまったのか、悲しいストーリーです。

開発に関わる人は、こうした状況を作り出す影響力を常に持っていると思いますし、援助とか支援を考える材料になると思います。

Farmer Research groups: Institutionalizing participatory agricultural research in Ethiopia

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Farmer Research groups: Institutionalizing participatory agricultural research in Ethiopia

Dawit Alemu, Yoshiaki Nishikawa, Kiyoshi Shiratori, Taku Seo
Practical Actions Publishing Ltd
2016年

英語でちょっと固い内容の本ですが、アフリカの農業開発現場のことが書かれているので紹介します。

JICAが実施したエチオピアでの参加型農業研究の取り組みが本になりました。

参加型農業研究は、それまでの先進国の技術を途上国に移転すること・研究所における研究成果をそのまま普及しようとすることから起こる様々な問題の認識から、1980年代90年代に多くの研究がなされました。その大部分は、農民をどのように研究に参加してもらうかというものでした。その後、参加型研究の関係者にとってのメリットの実証研究は下火となり、援助業界のトレンドの変化もあって、いま農民の研究への参加は権利に基づくものやネットワーク・イノヴェーションの観点の議論が盛んになっています。そのような背景の中で、エチオピア農業研究機構はJICAとともに、2004年から2015年まで、農民研究グループ(FRG)アプローチの制度化に取り組むプロジェクトを実施しました。農家や普及員が研究に参加することによって、研究普及の効率が向上するという言説を踏襲するのではなく、そもそも研究者が参加型研究に参加することの意味とその際に必要な技能や態度についてプロジェクトマネジメントに関わった関係者とともに、実際に研究を実施した若手研究員自身による記述を行っています。トップダウンの傾向の強いエチオピアで、研究機関のマネジメントが参加型農業研究の重要性に気づきこれを制度化しようとした経緯、具体的に成功した事例だけでなく、失敗事例や研究機関・研究員のキャパシティの課題、なによりも外部からの援助による制度化の難しさも描かれてています。

開発現場で働く開発ワーカーや研究者、あるいは将来開発分野で働くことを目指す学生の方たちの参考となるでしょう。

ハードカバー版がとてつもなく高いですが、キンドル版が安価です。

アフリカ人間読本

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米山俊直(編)
河出書房新社
1987年

古い本ですが、アフリカ入門にはいいんじゃないかと思います。政治・経済は、説明としては古いけど、南アフリカのアパルトヘイト撤廃直前の頃のアフリカの様子として読めばとても興味深いし、日常生活から自然とのかかわりまで幅広くカバーされた話題は、アフリカを知ることの楽しさを伝えてくれます。研究者の個人的なエピソードがコラムとして掲載されていて、書かれている情報とともに、研究者のアフリカとの付き合い方がわかるのも楽しいです。

古い本なので、いまならただ同然(ほぼ、送料のみ)で購入できます。

アフリカにょろり旅

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アフリカにょろり旅
青山潤(著)
講談社
2009

研究者が書いた、マラウイ、ジンバブエ、モザンビークでのウナギ探しの旅のお話し。奇想天外で、ほぼ無計画な旅の途上に出会う人々、食べ物、乗り物、宿、市場、そしてウナギの話が、まるで漫画のストーリーように展開します。なにもそこまでしなくてもいいんじゃないというか、もう少し計画的な旅でもいいんじゃないかと思うし、登場する食べ物「ニャマチョマ」はスープ/シチューではなくて焼肉の間違いじゃない?と思いますが、そんな経験をしてまで幻のウナギを探し求める姿が滑稽でもあり、仙人のようでもあり。この本を読んで研究職志望者が減らないことを祈ります。専門であるアフリカのウナギの詳しい話があまり書かれていないのが少し残念。

研究者が書いたこちらの本も面白いです。

ビビのアフリカ旅行

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たがわ いちろう (著), 中村 みつを (イラスト)
ポプラ社

野良猫ビビ、そしてブルーベリー農園を営む「おじさん」の心の交流と別れを描いた絵本『ビビ』の刊行から6年。第2弾である本書では、野良猫ビビが日本を飛び出し、アフリカを訪ねます。学校や市場など人びとの日常生活から、診療所や市場の様子、過酷な労働をせざるを得ない子どもたちの貧困の問題などが、ビビの率直な驚き、悲しみと共に語られる絵本。現地ではサラム(平和)という名の猫と出会い、案内されながら、お互いの文化、生活を語り合います。
(Amazonの紹介文から)

エチオピア ナティはたよれるお兄ちゃん (世界のともだち)

エチオピア ナティはたよれるお兄ちゃん 写真・文 東海林美紀
偕成社(2015)

立派なお城が残るエチオピアの古都ゴンダール。そこに住むナティ少年を中心に、家族、食べ物、教会、お祭りなどが鮮やかに紹介する児童書。著者と少年や家族との親しい関係が伝わってくるあたたかい写真がたくさん、エチオピアの魅力が伝わってきます。子供たちのエチオピアの入門書、アフリカの入門書にぴったりですね。

同じ出版社からは、いろいろな国を紹介する本がシリーズで出ています。