スワヒリ世界をつくった「海の市民たち」

根本 利通(著)
昭和堂

東アフリカのスワヒリ世界には、まぶしさと潮の香りの思い出が付きまとう。

そんな思い出をこの本はさらに豊かにしてくれる。アフリカの発展は、海岸沿いの町々にも急速な変化をもたらしているが、かつてダウ船で貿易風に乗り、中東からモザンビークまでの間を行き来した船乗りと商人たちの足跡が今でも方々に残っている。かつて栄えた王国や貿易の町で繰り広げられた人々のくらしがあったのだ。著者は、そうした町や遺跡を丹念に歩き回り、今そこに住む人たちと交流し、話を聞いて記録をしたためてきた。いずれ一冊の本にしようと考えていた著者が急逝し、残された人たちが遺稿集として取りまとめたのが本書だ。

根本さんはダルエスサラーム大学大学院への入学を皮切りに、そのあとずっとタンザニアで30年間暮らされた市井のアフリカ研究者。長らく、ダルエスサラームでオルタナティブツアーを提供する旅行会社を経営されていた。日本とアフリカを繋ぐ、アフリカを学んでもらうツアーを運営しつつ、奨学金事業なども運営された。根岸さんは、自分が見出したスワヒリ世界の魅力を、多くの日本人に分かってもらいたかったんだろうなと思う。スワヒリの世界を内側から見た視点は、その他の研究者と一線を画す

ケニアのタナ川河口にできる、インド洋に突き出した長い砂州をバイクで走り回っていたころ、誰もいない海岸沿いに、半分砂に埋もれた遺跡を見つけたことがある。今はだれもいない海岸は、かつては商人や船乗りや王様など、様々な人たちが行きかう地だったのかもしれないし、あるいは、この地を拠点にしようと考えた者の、孤独な見張り小屋だったのかもしれない。この本を読んだら、あの時に見つけた遺跡に行って、その遺跡がたどった歴史に思いをめぐたらして見たくなった。

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お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs

たかまつなな(著)
くもん出版 (2020)

とても分かりやすい本。13歳だけでなく、大人も読みましょう。

お笑い芸人、お笑いジャーナリストとして、笑いを通じて若者の社会課題への関心と行動を促す活動を展開しているたかまつななのSDGs入門書。

第1章:このままだと未来が危ない
第2章:3分でわかるSDGsの考え方
第3章:世界を変える17の目標
第4章:考えよう!ニッポンの課題

「見せかけだけの取り組み、SDGsウォッシュ」なんていうコラムもちゃんとありますし、参考文献もしっかりしてます。

アフリカ理解プロジェクトでは、”中学生でも分かる”を念頭に活動を進めているので、本の内容もさることながら、構成や表現の仕方が参考になりました。一家に一冊、家族全員がやさしくSDGsを学び、日本の課題や世界の未来を考え、今日からの第一歩を後押ししてくれる本でしょう。



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絵はがきにされた少年

藤原章生(著)
集英社 (2005, 2010, 2020)

大手新聞社のアフリカ特派員が綴った短編集。インタビューした一人一人の体験を聞き取りながら、様々なアフリカ人、社会、歴史的な出来事がが語られています。また、一人一人の人生や考え方に触れることで、記者としての、あるいは外部者としてのものの見方や、記者としての伝え方を深く考えるようになるところは、現地社会や人々を尊重する筆者の気持ちが伝わってくる、文章です。「ハゲワシと少女」の写真を撮ったカメラマンの死、フツとツチの対立と和解、スワジランドの王様、今後のダイヤモンド、アパルトヘイトなど、興味深い話題を、個人の経験を通して見ると、また違った一般論として理解していたそれぞれの課題の違う一面が見えてくる。まず、一人一人を知ることから始めて、一般論はそのあとでよいと筆者は語り掛ける。

長く滞在して人間関係を作らなければ聞けない話が興味深い。一般的なアフリカ書では触れられない、アフリカの市井の人たちのとても興味深い人生に触れてみたい人、自分の経験したアフリカをどう伝えたらよいか悩んでいる人には、差参考になる一冊だろう。

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ビアフラ戦争:叢林に消えた共和国

室井 義雄(著)
山川出版社 (2003)

ナイジェリアで起き、当時「飢餓」の代名詞ともなったビアフラ独立戦争が終結して50年が経つ。この戦争は1967年、部族間・地域間の対立が背景となって、イボ人が多数派を占める東部の州が「ビアフラ共和国」として独立宣言したことに端を発する。その後、ビアフラ内は経済封鎖によって食料供給が止まり、飢えた子どもたちの映像がテレビを通じて世界中に報道された。
 各国では反戦意識が高まった。ジョン・レノンは抗議の意で英国勲章を返上し、米国コロンビア大の学生ブルース・メイロックが国連本部前で、パリの路上ではフランシーヌ・ルコントが、ビアフラの飢餓に抗議して焼身自殺した。新谷のり子が歌った「フランシーヌの場合」は彼女の死に触発されて作られた歌だ。約200万人が飢餓で命を落とし、ビアフラが降伏したことで戦争は70年に終結した。
 本書は、ビアフラ共和国独立前夜から、終戦までの主に軍人や政治家たちの動き、また諸外国の思惑と介入を克明に追ったものだ。植民地時代の歴史が、この戦争を長引かせてしまった原因でもあるという。
 ビアフラの独立を求める人々が今もいる。

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酒を食べる:エチオピア・デラシャを事例として

砂野 唯(著)
昭和堂 (2019)

酒を食べるエチオピア南部に住むデラシャという人たちのお話。もう少し正確に言うと、酒を主食にしている人たちのことを書いた本です。

文字通り、毎日5キロもの濁り酒を、農閑期には15回、農繁期には20回以上に分けて「食べる」。つまり、食事として摂る。朝起きてゴクリ、畑に出かける時にペットボトルやヒョウタンの容器に入れて家を後にし、仕事の合間にゴクリ、畑に行く道すがらにもゴクゴク、お昼にゴクゴク、帰宅してゴクゴク、寝る前にゴクゴク。一日に4から5時間がこの濁り酒を飲む時間に費やされるそうです。

エチオピアやその他の国々の発酵食品とそれらの栄養価についても説明されていて、食べ物としての酒の歴史と文化を知ることもできます。本当に目からうろこ、なあるほど、ええっ、が連続する本です。

どちらかというと専門書っぽい内容なので、できれば一般向けに、すらすら読める本を書いてほしいなと思いました。たくさんの人たちに知ってほしいです。デラシャの人たちの暮らしと文化を知ると、価値観変わりますよ・・・たぶん。

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奴隷になったイギリス人の物語:イスラムにとらわれた100万人の白人奴隷

奴隷になったイギリス人の物語:イスラムにとらわれた100万人の白人奴隷

ジャイルズ・ミルトン(著)、仙名紀 (訳)
アスペクト (2006)

ちょっと過激な、18世紀のマグレブにいた白人奴隷の話です。

トーマス・ペローという、11歳で叔父と貿易船に乗って航海に出た少年が、地中海で海賊につかまったのが1715年。その後の23年間をモロッコで奴隷として生きたペローを軸に、当時、数万人の白人奴隷の話の数々が記された、物語風のフィクションです。

内容は、白人中心に描かれ、脚色しすぎじゃないかと思われるくらい、スルタンの残虐さの数々が随所にあります。フェズやメクネスには、黒人奴隷もたくさんいたはずですが、彼らの描写はほとんどありません。スルタンの傍らで警備して、時にスルタンの命で処刑を執行していた黒人警備隊の話は頻繁に出てきます。メクネスのスルタンが、モーリタニアを超えてセネガル川あたりまで影響力を持とうとしていた様子も記されています。

モロッコを訪れる人はこんな本も読んでおくと、世界遺産でもあるメクネス塀や宮殿を見学するときに、歴史の中で起こったことやそこで生きていた人たちの様子に想像を広げることができるのではないでしょうか。

ペロー少年はスルタンの元で成長し、奴隷のままではありますが、兵隊を率いる隊長にまで出世します。そして数々の修羅場を乗り越えて、最後は・・・。

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現代アフリカ文化の今:15の視点から、その現在地を探る

「現代アフリカ文化の今:15の視点から、その現在地を探る」

ウスビ・サコ、清水貴夫 (編著)
青幻舎 (2020)

アフリカってやっぱり面白いなあ。

建築からファッション、音楽からコミック、現代アフリカ文化を広く網羅していて、アフリカの様々な地域や分野で繰り広げられているアートの今に触れられる本、アフリカってやっぱり面白いなあと思わせてくれます。

アフリカの芸術や文化は、もちろんアフリカの各地で花開き、今もどんどん進化しています。同時にそれらは、日本も含めた世界の各地でも根を下ろしたり、あるいは現地社会の中を漂ったりしながら、引き継がれたり進化したりしています。

多種多様なアフリカの現代文化を、200ページあまりの本で語りつくすことは到底できませんが、その豊かさや面白さに触れるには最適の本ではないでしょうか。文化人類学特有の言葉遣いがところどころで気になりますが、アフリカの現代文化に関心のある人ならだれでも楽しめる本です。

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ミルクをこぼしちゃだめよ

「ミルクをこぼしちゃだめよ」

スティーヴン デイヴィーズ (著), クリストファー コー (イラスト), 福本 友美子 (翻訳)
ほるぷ出版 (2013)

カラフルでとても読みやすい、子供向け絵本。

西アフリカのニジェールで、ペンダという女の子が、山のうえのおとうさんに、ボウルに入れたミルクを頭の上にのせてとどけるお話です。ストーリーの裏には挑戦、探求、信念、家族愛の要素がちりばめられています。

子供が、異国ニジェールの生活、文化、自然などに触れることのできる本。年長組から小学校の低学年向け。

最後がほろり。

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種子のデザイン

「種子のデザイン」
岡本 素治 著
LIXIL出版

「種って面白い」と発見したのはアフリカ。巨大なものやら、羽や刺がついてるものやら、不思議な形状のもの、まるでアート。
こんな種を集めて写真集にしたら面白いなあと思っていたら、あちゃー先を越された。
京都の本屋さんで見つけた1冊。こちらは世界の種子でデザインが美しいものが載っている。種子入門編として楽しめる。

アフリカの家の庭にあったカエンボク、カポックetc. 花や実もよかったが、子孫を残すために工夫を凝らした種子のデザインは、究極のアート!
写真の種は何の種でしょう?

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チョンキンマンションのボスは知っている

「チョンキンマンションのボスは知っている」
春秋社
小川さやか 著

このタイトルだけで、いったいどれほどの人たちの心をつかむだろうか?

人類学者が、香港のタンザニア人コミュニティの中に身を置き、その一部になることで観たこと、経験したこと、考えた人生のことなどが生き生きと描かれている。

香港のタンザニア人コミュニティーを維持している「シェアリング経済」や相互扶助組合、ICTを使った本国との取引のしくみと、それらの合間を埋めている、お互いの人生に深く踏み入らないながらも、排除もしない価値観やコミュニティの在り方は、面白く、読んでいてなるほどと感心し、最後にはこんな人生面白そうだなという気持ちになって、こんな社会に身を置いたら安心かもという気にもなってくる。

”おわりに”で筆者が「私たちは必ずしも『危険な他者』や『異質な他者』を排除しなくてもシェアができるということを考える一歩になれば、うれしく思う」と述べている。私たちがこれからどのような社会で生きていこうとしているのかを考える、その助けになる一冊だろう。

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